【ブルーリボン訴訟とは何か?】ある裁判所におけるブルーリボンバッジ着用禁止の経緯について

大阪地裁堺支部の法廷で禁止

 北朝鮮に拉致された日本人の救出を願うブルーリボンバッジの着用が禁止されるという事態は、大阪地裁堺支部の民事訴訟で起きました。
 この訴訟は、大阪府岸和田市の不動産会社「フジ住宅」にパートで勤務する在日韓国人の女性が平成27年、職場で「ヘイトスピーチ」(憎悪表現)を含む民族差別的な資料を配布されたとして、同社と今井光郎・同社会長に損害賠償の支払いを求めたものです。
 同社の支援者らは日常的に着用しているブルーリボンバッジを法廷でも着けていましたが、堺支部は30年5月の審理から令和2年7月の判決言い渡しまで、法廷でのブルーリボンバッジの着用を認めませんでした。
 ことの発端は、原告女性の支援者側が、「ストップ!ヘイトハラスメント」と記した揃いの缶バッジをつけるようになったことでした。このブルーリボンバッジ禁止をめぐる国家賠償請求訴訟(後述)の訴状によると、フジ住宅側の支援者がこのバッジについて堺支部に注意を促しましたが、何の措置も取られませんでした。このためこの30年3月の口頭弁論で、フジ住宅側の支援者が富士山と太陽を描いたバッジをつけ入廷すると、堺支部は「メッセージ性のあるバッジの着用は認められない」と、双方のバッジを禁じました。
 ブルーリボンバッジが禁止されたのは、続く30年5月の口頭弁論でのことです。開廷前、原告女性側の支援者が、ブルーリボンバッジを着用していたフジ住宅側支援者に「メッセージ性があるから外せ」と言ってきたため、間に入った堺支部職員が民事訴訟の担当裁判長に確認のうえ、ブルーリボンバッジを外すよう命じたのです。
 これ以降、同訴訟の法廷ではブルーリボンバッジの着用が禁止されました。フジ住宅側、原告女性側双方が控訴した大阪高裁の控訴審では、ブルーリボンバッジだけではなく日の丸のバッジも禁止されました。

 

着用禁止は「裁判官の裁量を逸脱」しているという訴え

 大阪地裁堺支部の民事訴訟の判決言い渡し後の令和2年11月、フジ住宅の今井光郎会長と同社の支援者ら計3人が、ブルーリボンバッジの着用を禁止されたのは、表現の自由の侵害であり、憲法に違反するとして、計390万円の国家賠償を求める訴訟を大阪地裁に起こしました。今井会長も堺支部の審理で本人尋問のため出廷しましたが、やはり日常的に着用しているブルーリボンバッジを外すよう命じられました。
 この国賠訴訟で国側は、大阪地裁堺支部がブルーリボンバッジを禁止したのは、裁判官に付与されている「法廷警察権」に基づく措置と主張し、今井会長らの訴えを棄却するよう求めています。法廷警察権とは、法廷の秩序を維持し、審理をスムーズに進行させるため、不規則発言をする傍聴人に退廷を命じたり、暴れる人を取り押さるよう命じたりすることができる権限です。
 これに対し、今井会長や支援者側は、ブルーリボンバッジは北朝鮮に拉致された日本人を救出する日本国民共通の思いのシンボルであり、今井会長や支援者は日常的に着用しており、民事訴訟とは無関係だと主張。着用を禁止したのは裁判官の裁量を逸脱しているとしています。
 また北朝鮮人権法(「拉致問題その他北朝鮮当局による人権侵害問題への対処に関する法律」)の第二条は、「国の責務」として、「国は、北朝鮮当局による国家的犯罪行為である日本国民の拉致の問題を解決するため、最大限の努力をするものとする」と定めており、裁判所や裁判官を含むあらゆる国家機関、国家公務員が拉致問題の解決に協力しなければならないのに、ブルーリボンバッジの着用を禁止したのは、同法の趣旨に反するとしています。
 なお国側準備書面では、堺支部の裁判官らは、ブルーリボンバッジ着用は、原告女性の「主張に対抗する趣旨と受け止められ」、着用を認めると「原告(女性)やその支援者らに対し、裁判所の中立性、公平性に疑念を抱かせる」可能性があると判断していたといいます。
 フジ住宅を訴えた民事訴訟で原告女性側は、フジ住宅が、領土問題や歴史認識問題、安全保障問題などで韓国・北朝鮮・中国を批判する産経新聞や月刊「正論」の記事、保守系論者の論評などを資料として大量に社員に配布したことを、民族差別を助長するなどと主張していました。拉致問題の解決を願うブルーリボンバッジも、北朝鮮への批判であり、法廷での着用を認めれば、北朝鮮に民族的出自をもつ人たちへの差別を助長すると原告女性側が受け止める可能性があるということでしょう。
 しかしそれなら、安倍晋三元首相や菅義偉前首相、岸田文雄首相、立憲民主党の泉健太代表ら多くの国会議員ら、国家のリーダー的立場にある人たちの多くがブルーリボンバッジを着用していること、さらにいえば拉致問題の解決を訴えることも差別を助長していることになりかねません。ブルーリボンバッジはあくまで「拉致問題の解決を願う国民運動のシンボル」(政府)であり、差別とは無縁です。

 

裁判官の証人尋問が申請される

 国賠訴訟で今井会長や支援者側は、ブルーリボンバッジ禁止措置についての詳しい説明を求め、民事訴訟で裁判長を務めた大阪地裁堺支部の裁判官(当時)の証人尋問を申請しています。当会が主催する「拉致被害者救出のため強い覚悟をもってブルーリボンバッジを着用する共同声明」は、努力義務とはいえ拉致に関する広報啓発が法で定められているにも関わらず、国家権力をもって禁止とされたことに対する憤りも背景にございます。ゆえに司法権を犯すわけではなく、立法職・行政職(首長など)が自らの着用を覚悟をもって宣言するという結論に至りました。
 裁判官の証人尋問について、国側は「不要」としています。その可否については、令和4年9月16日にも大阪地裁が判断を下す見通しです。

(下記署名は、一般の方(議員以外の方)も参加できます。)

ブルーリボンバッジを禁止した裁判官の直接の説明を求める署名
本署名は最終集計を終え、無事に裁判所に提出されました。 ご協力頂いた皆様、ありがとうございました。 【感謝のご報告】一般署名、最終集計17,408筆。本日裁判所に提出いたしました。(9月14日) 署名のお願い こちらの署名については、ブルー...

 

当会のスタンス

 地方議員の会が発足し共同声明を発出した背景には、そもそも”裁判官と弁護士の議論で決めることなのか”という疑問がありました。ひとつの事実として傍聴した地方議員(堺市議)のバッジも外されております。司法権に介入することは抑制的であるべきですが、深い悲しみの念を示し「私は、バッジを着用する」と宣言することは、むしろ立法職・行政職の当然の責務であると考えました。

 各地方議会の動きについて述べます。大阪拉致議連は、同訴訟が大阪で起きた事件であることを重く受け止め、100名以上が賛同予定です。奈良県は、市長会会長・市議会議長会会長・町村議会議長会会長が賛同し、特に町村議会議長会は文書も発出しています。この中には、安倍元総理が非業の死を遂げた際に傍にいた議員らを含み、覚悟をもって集めています。これらの動きを受け、最も政権に影響を及ぼすのは広島の政治家ですと要請したところ、広島市議会の最大会派が議員団として諮り、正副議長を含む同会派所属議員全員が賛同しています。
 他、東京都議を含め全国の市区町村議がネットを経由して賛同者を増やしているところです。

 お盆過ぎに始まった本活動は、本共同声明のHP公開から1日で賛同者100名を突破し、現在は160名となりました。我々は、日本政府から「バッジを外せ!という権力の行使は許されるのか」と回答を得たいと考えております。
 すでに国の拉致議連に対し初期の賛同者一覧を提出し“もしも500議席に集まったならば、(国の)拉致議連として取り計らって頂きたい”と求めたところ、北村経夫・事務局長が直接サインをしてくれました。国に、地方議員の声が届くのかは分かりませんが、やらねば何も動きません。誰かの勇気になるために、ともにお名前を連ねて頂けると強く期待いたします。ご賛同よろしくお願いいたします。

拉致被害者救出のため強い覚悟をもってブルーリボンバッジを着用する共同声明
貴方の住む街においても、その地域を愛する政治家が着用してくださるものと信じています。是非、ご地元の地方議員の先生に、各HPの問い合わせフォームやFacebookやTwitterなどで賛同して頂けるようお願いしてください。  私たち政治家は、...

 

 

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  1. k .s。 より:

    ブルーリボンはまだまだ国民に浸透しておりません、
    バッジを着けて外出すると”それは何?”と聞かれます。
    説明すると”欲しい!” と言われます。
    いつでも安価で手に入れられる事を喧伝してください。
    多くの方がバッジ応援する事が拉致被害者家族の気持を支えます。

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