拉致被害者救済活動の象徴的な存在である「ブルーリボンバッジ」を公有地である裁判所敷地内において、裁判官が外すように命じました。そのことの是非を問う国家賠償訴訟において一審で請求が棄却されたことを受け、会長声明を発出します。
会 長 声 明
ブルーリボンを守る議員の会は我が国の政治家として、北朝鮮による日本人の拉致事件は単に拉致被害者の人権侵害というだけではなく、日本の国家主権の侵害の問題として認識し、これまで拉致被害者の救済のために議会活動その他国民運動に邁進してきました。
いま地方行政においては、執務中の職員までもがブルーリボンバッジを着用する自治体が少なからず存在し、東京都知事、大阪府知事、沖縄県知事をはじめ、警視総監までもがブルーリボンバッジを着用して議場に入場しています。国においても、全ての閣僚がバッジを着用して閣議に臨み、官房長官自らがその写真を撮影して拉致被害者のご家族に報告しています。
ブルーリボンバッジは拉致被害者救済活動の象徴的な存在です。これを公有地である裁判所の敷地内で着用させないよう、司法という国家権力を持って命じられるという暴挙がありました。驚きと深い悲しみを禁じ得ません。さらにその理由が法廷で釈明されなかったことには怒りすら覚えます。判決文においては、拉致被害者に対して寄り添った文言が存在しないことには衝撃を受けました。
拉致問題は主権問題であり、主権者たる国民の権利が侵害されたままになっている以上は、いずれの三権においても最優先されるべき事柄です。立法権・行政権・司法権のいずれの権能においても国民主権であるという理解に立ち返り、拉致被害者への最大限の努力と配慮はなされねばなりません。
主権・領土・国民が主権国家の三要素でありますが、裁判所および敷地内は我が国の”領土”です。主権者たる”国民”が拉致されたことの救出を願うバッジを、司法権が”公有地において国権の発動”として除去させたことについて、拉致被害者に対する斟酌が一切ないことには驚きを禁じ得ません。
判決文において、司法権が司法に配慮するばかりの言葉遊びに終始しているように見えることについて一言申し上げます。三権はそれぞれ独立しているのであり、司法への介入だけが問題とされるのではなく、等しく司法も立法権・行政権への介入に抑圧的な振る舞いが求められます。我が国には、拉致に関する二つの法律があり、国権の最高機関として立法府は意思を示しています。広報啓発を努力義務として定め、被害者救出後の支援を法で定めています。行政権は、これら法に従う。立法権・行政権をまったく無視し、司法権が司法権の内部でのみ議論を終始させ、あまつさえ主権者たる国民が人権を侵害されていることに対してなんら言及していないことは、公権力としての良識を疑います。
・拉致問題その他北朝鮮当局による人権侵害問題への対処に関する法律(平成十八年法律第九十六号)
・北朝鮮当局によって拉致された被害者等の支援に関する法律(平成十四年法律第百四十三号)
我が国は、支援法第三条(国等の責務)において「帰国又は入国のため、最大限の努力をするものとする。」と定め、また人権法第二条(国の責務)において「国民世論の啓発を図るとともに、その実態の解明に努めるものとする。」と定めています。同法において啓発された国民世論の発露としてのバッジ着用を、公権力が自ら除去する判断はいかなる権能においても許されません。
本訴訟が国家賠償請求訴訟という性格を鑑みれば、家族会や救う会が公にコメントすることは考えにくい。しかし、その心中を察するにあまりある。拉致された家族を救出したいという願い、その象徴を公権力により除去されるという異常事態について、私たちブルーリボンを守る議員の会は、拉致被害者救出のため強い覚悟をもってブルーリボンバッジを着用することで意思を示していく。
報道の紹介
以下、産経新聞より。
法廷でブルーリボンバッジ着用禁止、裁判官判断の違法性認めず
裁判官が、北朝鮮による拉致被害者の救出を願う「ブルーリボンバッジ」の着用を禁じたのは憲法が保障する表現の自由に反するなどとして、大阪府内の男性3人が国に計390万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が31日、大阪地裁であり、達野ゆき裁判長は違法性を認めず、請求を棄却した。
原告は不動産会社「フジ住宅」(大阪府岸和田市)の今井光郎会長(77)ら3人。争点は、法廷の秩序を守る目的で裁判官に与えられた「法廷警察権」をいかに評価するかだった。
(中略)
フジ住宅訴訟では、女性の支援者とフジ住宅の支援者が別のバッジ着用を巡ってトラブルになっており、裁判長は「メッセージ性のあるバッジは外す」と指示。この対象にブルーリボンも含まれ、判決まで着用は認められなかった。
原告側は拉致被害が日韓で起きたことを踏まえ「ブルーリボンはフジ住宅訴訟の争点と全く関係がない」として、法廷警察権の乱用にあたると主張。一方、国側は、着用を認めれば「裁判所に対する中立性、公平性に疑問を抱かせ、当事者間の喧噪(けんそう)につながる可能性があった」として、正当な法廷警察権の行使だと反論していた。
判決文(全文)
令和5年5月31日、大阪地裁。達野ゆき裁判長。
共同声明へのご賛同をお願いします。
できればオンラインでの賛同をお願いしています。お恥ずかしながら賛同者一覧への掲載などは手動でやっており、事務負荷が激増しています。お名前に誤字脱字や重複がないか相当に気を使っていますが、ここまで増えるとは想定していませんでした。FAXや書面での送付も有り難いのですが、できればオンラインが助かります。
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コメント (応援があると励みになります。)
原告の皆様におかれましては、さぞ悔しかったことと思います。上告されるのでしょうか?
もし上告されるのであれば、議員の会から原告の皆様に対して応援して頂きたいです。宜しくお願いいたします。
自分も何か力になれることがあれば、協力します。